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スマイルカットをご存知ですか? – 発達障がいの子どもたちにエールを –

“サロンで髪を切る” …この「普通のこと」を体験させてあげたい


愛知県江南市のサロンBumpy Happy(バンピーハッピー)さんには、地元のお客さま以外に、県外からもお客さまがご来店されます。
その理由には、東京で長年活躍された確かな技術と、人柄がにじみ出る温かな接客などがあります。

そしてもうひとつ、大きな理由に「スマイルカット」という取り組みをされていることが挙げられます。

スマイルカットとは、NPO法人そらいろプロジェクト京都さんが、”発達障がいの子どもたちにも、安心してサロンでカットを体験してもらいたい”と、はじめた活動で、バンピーハッピーさんも賛同サロンとして登録・実施されています。

「発達障がいのお子さんのカットのために、車で一時間も二時間もかけて、高速道路なども使ってご来店いただく方もいらっしゃいます。これは、カットしてくれる(受け入れてくれる)サロンが近隣にないためです」

「現実として、サロン探しは本当に大変です。断られ続けると気持ちも沈んでいきますし。問い合わせをするだけでも勇気がいると思います。例えば、親御さん自身が通っているサロンに「子どもが発達障がいで・・・」と相談をして、断られたら、親御さん自身が通いにくくなります」

厚生労働省の統計(2016年)では、発達障がいの子ども(高校生以下)の数は、約22万人となっています。
この数は、医師が診断・認定した数であり、実際にはさらに多いと予想されています。
実際、皆さんのサロンには、そのようなお子さんは来店されていますか?
おそらくほとんどのご家庭が、ご自宅でカットをされているかと思います。

皆さんは、見知らぬ場所に行くことや、これから何が起こるのか分からない状況に対して、プレッシャーや不安を覚えることはないですか?
発達障がいの子どもたちは、その感覚がとても繊細に現れ、慣れない場所に行くこと・見通しが立たないことに対して、強い不安を抱くことが多くあります。

そのため、サロンに行くことは大きな挑戦であり、また、サロンで行われるシャンプー・カット・お流し・ドライなどの施術の流れは、こうした子どもたちにとっては「次に何をするのか分からない=見通しが立たない」こととして、とても不安を感じるのです。

施術中の出来事においても、それぞれに苦手なことがあります。
例えば――
ドライヤーが苦手な子、バリカンを怖がる子、普段と違う照明が気になって仕方がない子、椅子に座り続けることができない子など、さまざまです。

「となれば、やっぱり家で切ったほうがいいのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
ご家族にとっても、わざわざお子さんが苦しむようなことを、しかも時間もお金も労力もかけてしたくはないはずですが、なぜサロンにご来店されるのでしょうか?

それは「できること」を少しずつでも増やしてあげたいという想いがあるからです。

「私たち(親・家族・大人)がこの世に存在している間に、できるだけ「できること」を増やしてあげたい。サロンで髪を切れるようになることも、そのひとつです。それが子どもたちの自信や、社会とのつながりになるからです」

「泣けるほど嬉しかった」ある日のこと

「発達障がいのお子さんをサロンに連れて来ることは大変です。サロンに来れたとしても、カットができないことも多々あります」

「あるお母さんは、過去にいろいろなお店で断られていて、もうウチの店(バンピーハッピー)がダメなら本当に終わるぐらいの気持ちで、2~3ヶ月ほど毎週毎週、頑張って、お子さんを連れてきました。カットも何もできないんですけど、それでもお母さんは頑張って連れてきました。 それを諦めずにくり返していたある日、突然、お子さんが自分からスッとセットイスに大人しく座ったんですよ。もう本当にそれだけでお母さんは号泣だったし、自分も泣きましたね。初めてカットもできました。個人差はあるけど、人間、成長していくんですね」

サロンでイスに座って髪を切る。
誰かにとっては普通のことでも、このお子さんにとってはとても大きな一歩だったかと思います。
スマイルカットとは、サロンでのカットを通して、お子さんの成長を信じて見守り、一緒に喜ぶ時間のことなのかもしれません。

スマイルカットをはじめたきっかけ

「スマイルカットをはじめたきっかけは、自分の息子も関係しています。自閉症とADHDを抱えており、専門家に言わせると「スーパー多動児」だそうで、息子の髪を切ることはなかなか大変です」
「他のご家庭でも、ご苦労なさっているかと思います。そこで少しでもお役に立てればと思い、サロンの開業と、スマイルカットに取り組むことになりました」

スマイルカットをはじめて良かったこと

「やっぱり子どもたちが成長する姿に感動しますし、以前よりも相手(子ども・顧客)の立場や目線になろうとする気持ちが強くなりました。個人サロンは大型サロン以上に、お客さまとの信頼関係づくりが大切なので、これは良かったと思います」
「カット技術も向上したと思います。できるだけ最短で仕上げるために、無駄のないプロセスを考えたり工夫を行うことで、技術に幅が広がりました」
「顧客減少が進むサロン業界ですが、そのような中でも、子どもたちのためにも、お店を維持する必要、使命みたいなものを感じています」

NPO法人 そらいろプロジェクト京都:スマイルカットについて

冒頭ご紹介したように、NPO法人そらいろプロジェクト京都さんは、発達障がいの子どもたちにも安心してサロンでカットを体験してもらいたい、という想いから「スマイルカット」という取り組みを行っていらっしゃいます。
また、絵本や講演、ヒーローショーなどを通じて、発達障がいへの理解や、理美容のバリアフリー化にも注力されています。

スマイルカットは現在、全国に100軒以上の実施店があり、講習を受けたサロンさまが、それぞれの地域で取り組んでおられます。

“発達障がいの子どものカット”が特別なことではなく、いつか「スマイルカット」という言葉が必要なくなるほど、どのサロンでもごく自然に行われるような世の中になることを目指していらっしゃいます。

そらいろプロジェクト京都、代表の赤松さんがおっしゃっていた――
「発達障がいの子どもたちは「困った子」ではなく「困っている子」なんです。ぜひ困っている子どもたちに手を差し伸べて欲しいです」という言葉が、私はとても心に残っています。

詳細はこちら:そらいろプロジェクト京都

 

商品教育 桝田

 

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