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アシスタントに会話術なんかを教えるのがいかに無駄なことか。


3分間のビジネスヒント

みなさん、こんにちは。いつもHINTSを読んで頂いてありがとうございます。
美容師名鑑編集部 石渡です。
また更新が遅れてしまいました。運営さま、申し訳ありません………。


 
先日、若いアシスタントさんと雑談をしているときに、

「お客さまとどんな会話をすれば、顧客満足度は高まりますか?」

と聞かれました。いつも私のコラムを読んで頂いていて、スタイリストさんのために何かできないか、そのためには顧客満足度を高めることだ、と思ったそうです。なんとも涙が出そうな話。

 
「いつもどんな会話をしているの?」

と聞いてみたら、

・美容の話
・今、流行っていること
・ネットニュースの話題
・芸能の話
・お客さまの趣味など

ということでした。いつもスマホで情報を集めて、今、何を話題にすればお客さまが喜んでくれるか、そして退屈しないか、または少しでも売上に繋げられるように、美容の話題に気をつけてしているそうです。

この涙ぐましい努力は続けるべきです。きっと今は、効果が感じられなくても、近いうちに、そうですね、5年くらいで目に見える結果に繋がると思うのです。

 
 
でもね、別に無理をしてお客さんに話題を振らなくてもいいと思うのです。あなたが落語家だったり、あなたが心理学者だったり、弁護士だったり、医者だったり、美容家だったり、料理人だったり、ライザップのインストラクターでない限り、無理に自ら話題を提供する必要性はない、と思うのです。

 
そういうことよりも、相手の話を引き出すことのほうが大事だと思うのです。

 
私が美容室業界と仕事をし始めたのは数年前で、その前は女性ファッションが多かったのですが、ほかにも飲食店やルポのようなもの、そしてインタビュー記事なども作っていました。

インタビューはこちらの人間力もけっこう問われるもので、20代の私には相当に難しい仕事でした。終わってみたら、「どっかで見たことがある記事」が出来上がってしまうこともしばしば。

 
「なんでこの事実を事情聴取のときに言わなかったんだ!」
「なんでって、聞かれてないじゃない!」

って、サスペンスドラマなんかで、ウソをついている関係者と刑事のやり取りにあったりしますよね。これと同じように、人って聞かれてないことは、いちいち答えないんですよね。でも、その聞かれてないことに、面白い事実が隠されていたりするものです。

若かりしころ、インタビューのときに気をつけたのは、とことん聞き出すことでした。ほかの記事にないようなネタを引き出すテクニックはなかったので、とことん聞き出して、情報をできるだけもらう。これが若い私が唯一、導きだした方法だったのです。おかげで「ほかでは言ってないんですけどね」なんてネタをもらえたこともありました。

 
 
若いアシスタントさんも同じなんじゃないかな、って思うのです。だって、多くの場合、お客さまの方が時間があるんですよね、だから最近の話題だって知ってるし、芸能のネタだってやたら詳しかったり、美容についても、よくよーーく調べている人が多いし、それぞれに持論もあったりする。
そんなややこしいフィールドに足を踏み入れる必要性なんてないと思うのです。

話が少しそれますが、昔、行ったサロンでアシスタントさんにこんなことを言われました。

「今日は選挙でしたねぇ、お客さまはどこに投票したんですか??」

 
って、超軽い感じで。
いやいや、そんなのに答えるわけないじゃーーーーん。てか、答えてもいいけど、聞いたからには、それなりの返答をしてくれるのかい、キミは?

 
 
「いやぁ、仕事があるんで、投票には行ってないんですよねぇーーー、ははは」

 
 
ははは………、でしょうね。
じゃ、なんで聞いたの!? つなぎ!? 忙しいって思って欲しいの???

 
そんな付け焼刃の会話なんて、求められていないのです。

 
だって、お客さんはそこで正解を求めているわけじゃないですから。

 
それよりも、「自分のことに興味をもってくれていること」のほうがよっぽど嬉しいと思うのです。アシスタントならアシスタントらしく、たくさんのことをお客さまから聞き出せば良いと思うのです。実はそこにスタイリストへのサポートになるヒントが隠されていることが多いと思うからです。例えば私生活、例えばライフサイクルなどについて。

そして、もっとも大事なことは、聞き出したら、それをしっかり憶えておくことです(記憶できないなら、メモをしておきましょう)。以前に話した内容を忘れられていたときの切なさって私生活でもあるでしょ?
同じことです。

 
 
「最近、お茶を始めたのよねぇ」
「へぇ、お茶って難しいイメージです」
「そんなことないわよ、流派ってのがあってね……」

なんて会話があったら、次の来店したとき、

「ちょっとお茶の流派について調べてみたんですけど」

なんてひと言を言われた日には、そのお客さんの満足度は相当に高まるはずです。そして、また違う情報を教えてくれるようになります。これこそ、満足度の向上にほかならないと思うのです。

だから、アシスタントさんは、聞いて、メモって、調べて、次のときの会話に繋げる、このサイクルで十分だと思うわけです。いや、それができるのはアシスタントさんだけなんじゃないか、と思うのです。そう考えると、サロンワークのなかで、アシスタントという仕事の重要性は高まる一方だと思うわけです。

 
・お客さまの話をとことん、真剣に聞き出す
・その話をメモする
・話の内容を調べておく
・次回に生かす

この流れで十分です。そして私に選挙の話はしないでください。

 
あと、これはアシスタントさんがこの仕事をする上で、もうひとつ大事なことなのですが………、

 
 
 
会話を途中でやめない!

 
 
特に、お店の先輩、上司、オーナーにお願いしたいです。お客さまとの会話を優先して良い、と。美容室に行くと、よくあるんですけど、話を聞いておいて、先輩やほかのスタッフから声をかけられると、そっちに気が向いてしまって、こっちの話がおざなりになること………。

これほど切ないものはありません。
おいおい!聞いておいて、ほったらかしかよ!!!って思います、私は………。ぜひ、それはみなさんで気をつけてください。私の話は最後まで聞いてあげてください。寂しい中年ですので………。

 
と、至極当たり前の話なのですが、当たり前のことすらできない人に、さらに上等な会話術や再来店を高める接客術なんて使えるはずがありません。そう私は思っています。こんな小さなことを続けることで、きっと顧客満足度は高まって、スタイリストやお店のためになりますよ、と、このアシスタントさんには伝えました。

 
 
今日も偉そうに失礼致しました。

 
株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣

 
 
 

3分間のビジネスヒント

石渡武臣(美容師名鑑)【ビジネス/経営/教育】
美容師名鑑・BIREKI Magazine編集長である石渡武臣が、アシスタントから経営者まで美容師が知っておきたい経営学・経済学を、独自の視点で分かりやすく解説。サロンワークや美容室経営に活かせる3分間で分かるビジネスコラム。
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石渡武臣(美容師名鑑・BIREKI Magazine編集長)
株式会社パイプドビッツ運営、お客さんにあった美容師さんを紹介する「美容師名鑑」、知識人と美容師を繋ぐソーシャルウェブマガジン「BIREKI Magazine」編集長。一般女性誌ファッション部門の編集者時代、ヘアカタログの制作に携わったことをきっかけに、美容師一人一人の個性に魅力を感じ、美容師個人に焦点を当てた「美容師名鑑」を創刊。その後、美容業界での経験を買われ「BIREKI Magazine」編集長を兼任。多くの美容師と関わってきた経緯とブログやSNSでの親近感から、若手美容師に慕われるお兄さん的存在。
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