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ファンベースの要は自社スタッフ


スタッフと既存顧客からはじめるファンベース
 
ファンベースの考え方をするときに、お客さまのファン化と同じくらい、いえ、それ以上に大事とも言えるのが、スタッフにサロンのファンになってもらうことです。

ここまでSNS利用率が高くなると、個人の本音があらゆる場所で透けて見える時代です。どんなに集客サイトでいいことを言っていても、スタッフさんがSNSで会社の不満を並べていたら、お客さまはそのサロンを選びません。

リクルートも同様です。スタッフ同士の風通しの良さ、悪さは、専門学生に丸見えになっています。専門学校が2年制になってからは、昨年就職した先輩のリアルな言葉が、サロン選びに一番影響を与えるのです。

 
では、そんな、サロンの集客やリクルートのカギを握っているスタッフさん、特に、“ゆとり”だ“さとり”だなどと言われる若手世代のスタッフさんとは、どう付き合っていくべきでしょうか。

 
オーナーさんに聞くと、専門学校に説明にいっても給料と福利厚生のことばかり質問される。昔に比べて情熱が足りない。少し叱るとすぐ辞めてしまう。教育がしにくい。そんな話をよく聞きます。

でも本当にそうでしょうか。私は、若い世代が大人世代に比べて決して熱意に欠けるとは思いません。

 
最近の専門学生がサロン選びで一番大事にすることは、福利厚生でも給料面でもなく、スタッフ同士の仲がいいこと。つまり、働きやすい職場であることを大切に考えています。これは、長く働ける職場を探しているとも言えます。教育がしっかりしているサロンに就職したいという生徒も多く、コツコツタイプの真面目な人が多いのです。

美容師にならなければ、ウェディングプランナーや介護福祉士になりたいと思っていた人が多いのも特徴です。デザイナーになりたいという意思よりも、人に「ありがとう」と言われ貢献できる職業を希望した結果、美容師を選んだ人も多いのです。

 
「飲みにケーションは嫌」という人が多いなどと言われますが、実際は逃げ恥の恋ダンスを踊るサロンの仲の良さに憧れたり、社員研修でわいわい楽しんでいるサロンに就職したいと思うのも、若手世代の特徴です。

 
先日、49歳のときにスキルス胃がんで他界された、MINXの故鈴木三枝子さんについて書いた『道を継ぐ』を出版させていただきました。

鈴木さんの仕事に賭ける生き様や、スタッフへの愛を描いたこの書籍に対するもっとも熱い感想が届いたのは、20代の美容師さんからでした。

「自分も頑張っているつもりだったけれど、もっとやれると思った」
「美容師の仕事は一生を賭ける価値のある仕事だと感じた」
「この本を読んでモチベーションがあがった。明日から頑張りたい」

そんなコメントが続々とアップされているのを見ると、今の若手の方々も決してオーナー世代に比べて冷めているわけではないと感じます。

 
いまの若手世代はピュアでまっすぐに仕事に取り組んでいる方が多く、自分を成長させたいという気持ちは、他の世代に対しても引けを取らないと感じます。

ただ、この世代の人たちは、子供のころから先生に一人ひとり声かけをしてもらっている人が多いので、自分が成功していく道筋が見える化されないと不安に感じる傾向があります。

一方で「このようなレッスンをしたらこのゴールに達することができる」と分かれば、その道を素直に進むことができるのが今の若手です。離職率が低く、若手スタッフをお店のファンにできているサロンは、そういった若手の特性を上手にとらえています。

 
社会に貢献したい、誰かの役に立ちたい、ありがとうと言われたい。

 
彼らが美容師を目指すモチベーションがそこにあるのであれば、その機会を感じやすい環境を作ってあげることも、離職率を下げる要因になりそうです。教育の方法を、若手に寄り添い、そっと背中をおしてあげるものに見直してみませんか。

 

 

スタッフと既存顧客からはじめるファンベース

佐藤友美(美容ライター)【マーケティング/経営】
著書『女の運命は髪で変わる』で話題の美容ライター佐藤友美が、今美容室が取り組むべき”伝わらない時代のコミュニケーション”「ファンベース」にフォーカスしたコラム。
コラムはこちら

佐藤友美(さとゆみ・美容ライター)
日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。MINXの故鈴木三枝子さんについて関係者191名に取材してまとめた最新著作『道を継ぐ』が、美容業界を超えて話題に。また、『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、7万部の大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。
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