ホーム > 【『道を継ぐ』刊行記念対談】人生に迷ったらカリスマ女性美容師に聞け! ACQUA小村順子さん(後編)〜「正しい努力」が自分をレベルアップさせる〜

【『道を継ぐ』刊行記念対談】人生に迷ったらカリスマ女性美容師に聞け! ACQUA小村順子さん(後編)〜「正しい努力」が自分をレベルアップさせる〜


49歳でその生涯を閉じた伝説の美容師・鈴木三枝子さんを描いた『道を継ぐ』(アタシ社)が「私もこんな風に生きたい!」「女友達みんなに読ませたい!」と大反響。なぜいま、女性美容師の生き方がこれほどまで一般の女性に支持を受けているのでしょうか。 HAIRでは、『道を継ぐ』の著者の佐藤友美さんと、カリスマ的人気を誇る女性美容師さんの対談を連載します。

※当記事はHAIR(hair.cm)からの転載記事です。(元記事:https://hair.cm/article-36158/

【後編】「正しい努力」が自分をレベルアップさせる

美容業界をリードする有名サロン・ACQUAのエースデザイナー、小村順子さん。後編は、自分をレベルアップさせる方法や、プロならではのこだわり美容法を伺いました。 (前編の記事はこちら)

「やり方」が正しければ、努力は必ず報われる!

報われないのは、「努力の方向性」がずれているから!?

佐藤:目標を持って働く女性が増えている一方で、「一生懸命努力してもなかなか報われない」という声もよく聞くようになりました。小村さんならどうアドバイスされますか?

小村:努力したことはうそをつかないんですよね。もし結果が伴っていないのであれば、それは努力が足りないか、努力の方向性がずれているのかなと思います。

佐藤:努力の量が足りないというのはわかるのですが、方向性がずれているというのは?

小村:美容師であれば、お客さまにリピートしてもらえない原因が技術にあったとして、そこに気づかず鍛錬を怠っていたり。客観的に自分を見極めるのはとても難しいのですが、そこに向き合っていかないと本当のやるべき事に結びつかないと思うんです。

給料全部つぎ込んでも、レベルの高い人と仕事をする

佐藤:客観的に自分を見るのことって難しいですよね。私自身、「自分の文章のどこがいけないのだろう?」と悩むことがあります。自分の「弱点」を客観的に知るいい方法はありますか?

小村:私の場合は、自分よりもレベルの高い人と仕事をするという事をある時に思いつきました。私もアシスタント時代、雑誌の撮影や作品撮りでうまくいかなくて悩んでいました。ダメなのはメイクなのか、ヘアなのか、モデル選びなのか…って、自分ではわからなくて。

佐藤:小村さんにもそんな時代があったんですね!?

佐藤:たしかに、自分よりもレベルの高い人と仕事をすることで、自分の弱点が浮き彫りになる瞬間ってありますよね。

小村:そうなんです。だから「カットが甘い」とか「左右のバランスが悪い」と指摘してくれるプロのモデルさんや、レベルの高いカメラマンさんに作品撮りの依頼をして、自分をレベルアップさせようとしてきました。若い頃はそんな人たちと仕事をするために、給料全部つぎ込んでいましたね。

佐藤:なるほど。自分よりレベルの高い人にアドバイスをもらうことで「正しい努力の方向性」も見えるわけですか。これはどんな職業でも通じることですね。

天も見てるし、人も見ている

小村:そうやって取り組んでいた頃に、ある美容専門誌に掲載された作品を見た上司が、この時の撮影にかかった経費の一部を会社で出してくれたのです。その時はとても嬉しかったですね。

佐藤:とってもいいお話。

小村:努力というのは絶対に、天も見てるし、人も見ているんです。

佐藤:天も見てるし、人も見ている!名言ですね。

「本番以上」の準備をすれば、緊張なんてしない

小村:『道を継ぐ』では、仕事に対する「準備の大切さ」が書かれていましたよね。あそこ、ものすごく共感したポイントです。
先日もヘアショーがあったんですが、これをいい機会にと、スタッフに「準備の大切さ」を伝えました。

佐藤:具体的にはどんな指導をされたんですか?

小村:とにかくカットですね。3カ月前からカットの練習をとことんやってもらいました。

佐藤:代々木体育館でやったヘアショーですよね。たしか7分ほどのヘアショーだったと思いますが、その7分のために3カ月前から準備?

小村:最後の1カ月は毎晩終電近くまで練習に付き合いましたよ。そして本番直前の日には、スタッフ全員を観客にして、本番とまったく同じようにリハーサルを開催したんです。

佐藤:リハーサルですか?

小村:そうです。そのためだけに170cmクラスのモデルを用意して、実際にばっさり髪を切ります。衣装も音楽も照明も、とにかく本番通りに。

佐藤:その7分のためにそこまで準備するんですか…!?鳥肌が立ちました。本番はどうでしたか?

小村:今回、手元が鮮明に映るカメラだったので、カットしているシーンが代々木体育館の大画面に映されたんですが、大スクリーンで見ても指先が全く震えず切り込んでいく姿を見てほっとしました。

小村:面白いことに、ここまで準備すると、みんな本番前に「早くステージに出たくてたまらない」って言うんですよ。そういう彼らのステージ裏での様子を見て、これはもう今日は大丈夫だなと実感しました。
そして終わった後も「本番が一番緊張しなかった」と言うんです。つまり、大事な場面で緊張してしまうのは、まだ準備が不足しているということなんですよね。

佐藤:プロのアスリートみたい!
仕事をしていると「ここぞ」というプレゼンや勝負のシーンって、誰にもあると思うんです。そのときに「準備すればするほど緊張しない」ということを知っていると、頑張れますね。

小村さん流「大人の美」の作り方

美は「食事」からはじまる

佐藤:お忙しいのに肌も髪も綺麗な小村さんの美容法、とっても気になるんですけど、何か特別なことはされていますか?

小村:食事には気をつけていますね。実は私、ほとんど外食はしないんですよ。

佐藤:えっ、そうなんですか!夜遅く帰ることも多いと思いますが、それでも自炊を?

小村:そうなんです。夜遅いとわかっているときは前日に作ったり。準備は得意なので(笑)。サロンにもお弁当を作って持っていって、手作りの食事を口にするようにしています。 あとは、朝には白湯を、夜にはハーブティを飲むことを習慣にしていて、身体を冷やさないようにしています。

マンネリは決して悪くない

佐藤:最近「今の髪型に飽きたから、そろそろ髪型を変えたい」という相談をよく受けるのですが、小村さんならどうアドバイスされますか?

小村:私は必ずしもマンネリが悪いわけじゃないなと感じます。だって、マンネリってその人のアイデンティティが確立して行き着いた「ひとつの理想型」でもあると思うので。 その上で同じ髪型に飽きてきたという人は、前髪やカラーなど、何かしらひとつ変化を加えるのも良いかもしれないですね。

佐藤:そもそもどんな髪型がいいかわからない、と悩んでいる人は?

小村:女優さんやモデルさんなど、「気になる女性」をピックアップするのがおすすめ。何もないところから自分がいいと思う髪型はなかなか思いつかないので、誰かをきっかけにしてみるといいですよ。

サロンの予約はいろんな意味で早めがお得

佐藤:サロンでのオーダーの仕方で注意することはありますか?

小村:オーダーより前の予約の時点の話ですが、皆さんお忙しいと思いますが、できるだけ前日までのご予約をおすすめします。というのも、私たち美容師って、お客さまがいらっしゃる前に「あの方には今度こんな提案をしよう」とか「こんなお話をしよう」という準備をするんです。

小村:私の場合は、お客さまの予約が入ってから実際にご来店されるまで、ご飯を食べながら、散歩をしながら、意識的にも無意識的にも「あの方に次におすすめするデザインは…」と考えています。

佐藤:さすが小村さん…。当日の飛び込み予約だと、その時間をとってもらえなくなりますよね。

小村:もちろんお付き合いが長いお客さまは、それでも大丈夫なのですが、余裕があるほどいろんな引き出しを用意できるのは間違いないんですよね。

佐藤:それはぜひ、いろんな女性に知ってもらいたいです!今日はとてもためになるお話を、たくさんありがとうございました。

対談を終えて

雑誌で撮影をし、有名タレントを担当し、テレビに出演して、憧れの女性美容師として取材を受ける。人が羨むような成功を収めてきた小村さん。でも「自分にとっての一番の成功は、『本当にこの仕事をやって良かった』と心から思えていることなんです」と言っていらしたのが印象的でした。 自分の評価は自分でなくて人が決める。でも自分の幸せは人ではなくて自分が決める。 そんな小村さんの生き方が、心に刺さりました。(佐藤友美)

 
撮影/中村彰男

※当記事はHAIR(hair.cm)からの転載記事です。(元記事:https://hair.cm/article-36158/

プロフィール

小村順子(おむら・じゅんこ)

ACQUAクリエイティブディレクター。長年美容業界を牽引してきた有名サロンACQUAのトップスタイリスト。日本を代表する女性美容師として、数々の受賞歴とキャリアを持つ。圧倒的な技術と美意識から作り出されるヘアスタイルは、0歳から80歳まで幅広い層のお客さまから絶大な支持を得ている。サロンワーク以外にもヘアショーの審査員や商品開発に携わるなど、活動は多岐に渡る。

佐藤友美(さとう・ゆみ)

日本初のヘアライター&エディター。ファッション誌やヘアカタログの「髪を変えて変身する企画」で撮影したスタイル数は4万人分を超える。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、セミナーや講演を聞いた美容師はのべ2万人を超え、これは全国の美容師の20人に1人の割合にあたる。著書に7万部突破のベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、発売即重版となった『道を継ぐ』などがある。

『道を継ぐ』とは?

49歳でスキルス胃がんによってその生涯を閉じた伝説の美容師・鈴木三枝子を描いたノンフィクション。今なお人々の心に残り、動かし続ける彼女のメッセージとはどのようなものなのか。1年半の歳月をかけ、191人の関係者に取材を敢行した先にたどり着いた「答え」は、働く女性にとって、強く心に響くものがある。「働き方・生き方を見直すきっかけになった」と、年代・世代を超えて感想が寄せられており、業界を超えて大きな反響を巻き起こしている。

※当記事はHAIR(hair.cm)からの転載記事です。(元記事:https://hair.cm/article-36158/
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